酒さ（赤ら顔）

酒さ（赤ら顔）Rosaceas

酒さとは、主に鼻や頬を中心に赤みやほてりが生じ、毛細血管が拡張して赤く透けて見える慢性的な皮膚疾患です。発疹が慢性的に続くこともあり、大人のニキビや酒さ、脂漏性皮膚炎、かぶれなどと似ているため正しく診断されにくいこともあります。

酒さの原因は明確には特定されていませんが、気温の変化や紫外線、ストレスなどが発症や悪化の要因になると考えられています。また、慢性的な化粧品や金属アレルギー、感染症、皮膚表面の毛包虫（ニキビダニ）の影響も関連しているといわれています。当院はビジネス街に位置し、若い世代の方の受診も多く、酒さの患者さんが多く通院されています。化粧品や金属アレルギーなどを合併した酒さの方が多い印象です。

酒さの主な症状

顔の赤み
赤い盛り上がり（丘疹）
膿をもったブツブツ（膿疱）
毛細血管の拡張
ほてり・ヒリヒリ感
皮膚の乾燥やむくみ

酒さの分類

酒さは大きく4つのタイプに分類され、複数のタイプが同時に現れることもあります。

①紅斑毛細血管拡張型: 顔の赤みや毛細血管の拡張、ほてり、ヒリヒリ感がみられる。

②丘疹膿疱型: 赤い丘疹や膿をもった発疹ができ、ほてりやヒリヒリ感を伴う。

③鼻瘤型: 鼻の皮膚が厚くなり、こぶのような膨らみが生じる。

④眼型: 目の充血、異物感、かゆみ、乾燥、まぶしさを感じる。

酒さの診断

酒さは、医師による視診と問診で診断されることがほとんどです。ただし、顔の赤みやほてりは他の皮膚疾患でも見られるため、ダーモスコピーを用いた鑑別診断が行われることもあります。
酒さと間違われやすい疾患には、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、膠原病などがあります。また、これらの疾患と酒さが合併しているケースもあるため、慎重な診断が求められます。

酒さの治療

酒さは慢性的に経過するため、治療の目的は症状を最小限に抑えながら、副作用の少ない治療を継続することです。

01.内服治療

●抗生物質: テトラサイクリン系　抗炎症作用を期待して使用。

●漢方薬: 炎症を抑える目的で使用。

02.外用治療

●メトロニダゾール製剤: テトラサイクリン系　抗炎症作用を期待して使用。

●アゼライン酸: アゼライン酸は、おもにざ瘡や酒さの治療に用いられます。アゼライン酸の作用は非常に穏やかなため、2～3ヵ月ほどかけてゆっくりと効果があらわれてきます。アゼライン酸は保険外となります。

03.マイクロニードルRF（高周波）治療（保険外）

●シルファームX: 赤ら顔や紅斑毛細血管拡張型の酒さに対する新しい治療法として注目されています。この治療では、酒さの原因となる真皮層の異常な毛細血管を減少させ、また、新しい毛細血管の過剰な生成を抑制することで、根本的な改善を目指します。血管内皮細胞増殖因子（VEGF-A）の働きを抑えることで、毛細血管の新生をコントロールし、症状の軽減へと導きます。

酒さを悪化させる要因

酒さは日光や温度差、ストレスなどのさまざまな要因で悪化することが知られています。以下の要因をできるだけ避けることが重要です。

紫外線（適切な日焼け止めの使用）
急激な温度変化（寒暖差の大きい環境を避ける）
過度の洗顔（低刺激な洗顔料でやさしく洗う）
熱い飲み物、香辛料、アルコールの摂取
精神的ストレス（リラックスできる習慣を身につける）
医薬品（ステロイド外用薬の長期使用は悪化のリスクがある）

酒さは慢性的に経過する皮膚疾患で、適切な治療と生活習慣の見直しが重要です。症状をコントロールしながら、悪化要因を避けることで、快適な日常生活を送ることができます。
大阪市中央区の堺筋本町しらとり皮ふ科では、患者様一人ひとりの症状に合わせた治療を行っております。酒さにお悩みの方は、お気軽にご相談ください。